自賠責保険への被害者請求は、自分に過失がある場合でも可能ですか?

自賠責保険に関しては、「この場合は保険金がおりるのか」という質問を多くいただきます。

どんな保険なのかを理解していれば、支払われるケースの把握は難しいものではありません。

この記事でわかること
・自賠責保険とは?
・自賠責保険は何をカバーする?
・自分に過失があっても保険金はおりる?
・どんな場合に保険金がおりなくなるの?

この記事では、自賠責保険の保険金が払われるケースと、払われないケースについてわかりやすく解説します。

まずタイトルの内容「自賠責保険への被害者請求は、自分に過失がある場合でも可能か?」についてお答えすると、「相手に1割でも過失があれば、被害者請求はできる」となります。

ここからは理由を、詳しく解説します。

自賠責保険とは?特徴を解説

自賠責保険とは、交通事故にあった被害者を救うためにある保険です。

全ての自動車への保険契約を義務付けており、被害者が金銭的な問題により救われないなどのリスクから救うことが目的とされています。

自賠責保険が対象としているのは、「他人」を死傷させてしまったときです。

他人の死傷に対して保険金が降りることになります。

自賠責保険の保険金支払い額と上限

自賠責保険は、車の所有者が契約する義務があります。

事故が起きたときに支払われる保険金は、内閣総理大臣および国土交通大臣が支払い基準を決めており、基準にそって支払われることになります。

ケースごとに上限額も定められているので、下記の表を参考にされてください。

支払い限度額

対象内容

怪我(傷害)

120万円

慰謝料、治療関係費、休業損害

後遺障害

75万円〜4,000万円
(後遺障害にふりあてられる等級による)

慰謝料、逸失利益

死亡損害

3,000万円

逸失利益、葬式費、被害者と遺族の慰謝料

自賠責保険でカバーできないものとは?

自賠責保険では、被害者である他人に支払われる保険金がおります。

それでは、自賠責保険でカバーできないものの例についてご紹介します。

自賠責保険でカバーできないもの例

怪我をした相手の過失が100%の場合
物損等「もの」の損害や対物賠償
運転手である自分への補償

それぞれについて詳しく解説します。

①相手100%悪いとき自賠責保険はおりる?おりません

相手が死傷した場合、自分の自賠責保険が適応し被害者へ保険金が払われます。

しかし、相手の過失が10、自分の過失が0の場合は、自賠責保険はおりないため、相手の治療などにかかる費用は負担されません。

また自賠責保険は「被害を受けた他人」に保険金が払われるものなので、被害にあった自分に対して、自分の自賠責保険が負担をしてくれることはありません。

自賠責保険で物損等「もの」のカバーは可能?できません

自賠責保険で物損等のカバーができるか疑問を抱く人は多いですが、自賠責保険は物損をカバーしていません。

つまり、事故によって発生した車など「もの」の損害に対しては、別途で保険に加入していない場合、全て自己負担となります。

「軽い接触事故程度なら、自賠責保険がカバーしてくれるのではないか」と考えている人も珍しくないですが、自賠責保険では「もの」に対する補償は無いです。

物損に対しては、補償のある任意保険に加入しておく必要があります。

自分が怪我をした場合は自賠責保険はおりる?場合によります

自賠責保険は「被害を受けた相手」に向けて保険金が支払われるものなので、自分の加入している自賠責保険から自分の怪我に対して保険金が降りることはありません。

自分の怪我に対しては、相手の自賠責保険から保険金が支払われることになります。

ただし、自分に100%の過失がある場合には、たとえ自分も怪我をしていたとしても、自賠責保険から保険金は支払われません。

詳しくは下記で解説します。

自分に過失がある場合、自賠責保険への被害者請求はできる?

よく「自分に過失がある場合、自賠責保険への被害者請求はできますか?」という質問をいただきます。

答えは、過失の割合によって被害者請求ができます。

自賠責保険では、「被害者になった他人」に対して保険金がおります。

つまり、事故によって自分が被害にあった場合は、相手の自賠責保険が保険金の負担をすることになります。

このとき、自分に過失があった場合にも、自分の過失が100%でないケースなら、被害者請求が可能です。

つまり、相手に少しでも過失があれば、自賠責保険への被害者請求ができるということです。

ただし、自分が100%悪いという場合には、被害者請求はできません。

自分の方が悪い場合、いくら請求できる?自分が重過失の場合

自分が重過失の場合(自分に7割以上の過失がある)は、総額から20%減額されます

しかし、自分が重過失のとき以外には減額もされずに120万円を上限に請求することができます。

自賠責保険の被害者請求は100%の過失がある人はできない

どちらかに100%の過失がある場合、過失がある人は被害者請求ができません。

また、「もの」に対しても保険金はおりないので、事前に任意保険に加入しておくことが大切です。

相手に1割でも過失があれば被害者請求はできる

過失割合が悪い場合でも減額はされてしまいますが実は被害者請求が可能になります。

過失割合が悪い場合でも交通事故を專門とする専門家に相談してみましょう